コンテンツ定量化への道 ~AIにコンテンツ制作は可能か?~

Summary

ひっそり、ChatGPT によって作成されたコンテンツをFindingsとして投稿してみました(/findings/ai/)。「コンテンツ制作における重要なこと」というテーマで生成した文章です。

文章生成系の「AI」(ここでは機械学習や深層学習などによる文章生成技術をAIと呼んでいます)は近年、驚くべき進歩を遂げています。

その中でも特に注目を集めているのが、上記のChatGPTと呼ばれる文章生成AIです。このAIは、今までの文章生成AIと異なり、「読むに耐える」文章を生成することができ、まるで人間が書いたように自然で読みやすい文章を生み出します。

細かいところでは所々に違和感を覚えますが、それでも、明らかにこれまでと一線を画したクオリティで、大きなブレークスルーを感じさせます。

AIによるコンテンツの制作は可能なのか?

さて、「コンテンツ」というと、俳句から映画までさまざまなものを指します。

ここではWebの世界では一般的で最もパイの大きな、主に構成要素が文章である「記事コンテンツ」を主要な対象に議論することにします。

ChatGPTのような精度の高い文章生成技術に触れると、AIによるコンテンツの生成は可能ではないか?という疑問が浮かぶのは必然だと思います。

AIによるコンテンツの制作は可能なのか?

結論からいうと、現在流通している多くのコンテンツはAIによる作成が可能であると考えています。

※ 以下の議論は、いわゆる「コンテンツマーケティング」的な考え方をベースとしてます。また、2022年12月時点の技術状況をもとに述べています。

「コンテンツ」を分類する

AIによるコンテンツ作成について考えるにあたって、コンテンツを大きく以下の2つに分類して捉えてみます。

ローレベルコンテンツ(短期の視点で行動を促すことが目的)
② ハイレベルコンテンツ(長期の視点で心理変容を生み出すことが目的)

(「ロー」と「ハイ」は単純にわかりやすく名付けているだけで、どちらが上か下かを意味しません)

①は、販促系コンテンツに代表される、目的が比較的定量化されているものが当たります。

ECサイトにおけるコンテンツはわかりやすい例で、コンテンツを閲覧した人がどれだけ商品を購入したか?を目的として作成される場合が多く、目的指標として送客率やCVRが設定されることが多いかと思います。

一方、②は目的が定量化されていないものが該当します。

ブランディング系のコンテンツなどが代表例で、プリファレンス・マインドシェア・・など行動には現れない心理変容であったり、長期的な接触を重ねることで生まれるパーセプションチェンジを目的としています。

このようなコンテンツは、目的(目的指標)が抽象的もしくは複合的であることが多く、指標化することが難しかったり、もしくは不可能であることもしばしばあります。

コンテンツによってはAIによる制作は可能である

AIによるコンテンツ作成可能性に話を戻します。

AIによるコンテンツ生成と言っても、闇雲に生成できれば(コンテンツとして成立していれば)OK、という単純な話ではありません。

AIによるコンテンツ生成は、読み替えると、AIによる「質の高い」コンテンツ生成です。「質の高い」とは、コンテンツ制作の目的を人間が行った場合と同等かそれ以上に達成しうる、ということになります。

①に当たるコンテンツは「コンテンツの質」が目的指標と直接的に紐づくので、質を定量化することができます。

例えば、上にあげたECサイトにおけるコンテンツでは、ECサイトへの送客率がそのままコンテンツの質となります。

コンテンツの質を定量的に測ることができれば、人間の手を介さないPDCAを回すことが可能になります。

コンテンツ(文章)を生成する → 質を定量的に測る → 一部分(または全部分)を変更して生成 → 質を定量的に測る → 一部分(または全部分)を変更して生成 → ・・・のような感じです。

このPDCAを繰り返すことで、目的達成に対して純度の高いコンテンツを自動で制作することができます。

(現実的には、「コンテンツ」はWeb広告のように空撃ち(ABテストを前提として多くの人に見せること)が難しいので、上記のPDCAを回すことは難しい、という課題が存在します。)

一方、②は前述の通り、定量的な指標と紐づかないことが多く、「質の高さ」を定義・評価することが難しいため、もし人間並みのクオリティで生成できるとしても「作って終わり」になってしまいます。

100本作れば1本くらいは質の高いコンテンツが作成できる可能性はありますが、1本作成するたびに99本空撃ちしていては「AIによる生成」は意味をあまり持ちません。

結論、①のコンテンツに限ればAIによる制作が可能である、と言えます。

最近は音楽・動画などの生成AIも多く登場しており、このようなマルチメディアデータ(コンピュータ上で扱えるデータ)で構成されるコンテンツは、全て成果を明確に定量的に測れるのであれば、AIによる制作は可能であると言えるかと思います。

補足

最後に少しだけ補足します。

①②については、厳密にいうと、以下のような構造となっています。

①のコンテンツ:ユーザーがコンテンツへの接触する→何らかの心理変容が起こる→「即座に」行動する
②のコンテンツ:ユーザーがコンテンツへの接触する→何らかの心理変容が起こる→行動する

Web上では、「即時に行動する」がクリックなどのWeb上の行動データと紐づくため、定量化することができるということです。

より正確にコンテンツの質を測るのであれば、①も②も行動へつながった心理変容を捉える必要があります。

ここまで議論が来ると、脳波を測る感性工学などの世界に片足が入ってしまいます。

①の分析では、「何らかの心理変容」をおろそかにしがち(おろそかにしても問題が生じない)ですが、①にしろ②にしろ、コンテンツ閲覧→「何らかの心理変容」→行動 における「何らかの心理変容」に目を向けることが重要です。

note も書いているので、ご愛顧いただけると幸いです。

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