PRはPassion Relationsに_01_そもそもPRってなんだ?

引地 海

Summary

PRって何の略?

「そもそもPRってなんだと思う?」

先日、就職活動中の学生さんとお話しする機会があり、そんな質問を投げかけてみました。返答は「自分のことを他者にアピールすること」。素晴らしい、その通りですね。「じゃあ、PRって何の略?」と意地悪な質問を投げ返したところ、小声で「プロモーション?」、惜しい。「アピール?」、なるほど、ピーアールとアピール、確かに響きは近い。

正解はPublic Relationsですよね。直訳すると「社会とのつながり」。じゃあ、もう一歩踏み込んで、「社会」ってなんでしょうか?検索すればその定義はたくさん出てきますが、要するに「人々の集まり」。社会と聞くとなんだかとても大きい共同体のように思えますが、国や街だけでなく、会社や学校、仲の良い友人グループや同じカフェに通う顔見知り、そして家族も社会の一部だと言えます。その中で、自分と他者との関係性(関係づくり)がPublic Relationsであり、それをどうやるか、が学生さんの答えだった「アピールすること」なのだと思います。

社会は細分化された。つながり方はどうだ?

さらに、ここ数年で「社会は細分化した」とも言われています。コミュニティという言葉が流布し、SNSなどの発展により、人と人とのつながり方は多様化しました。数十年前まで、ひとりの人が常時属するコミュニティの数は2〜3ぐらいだったものが、現在はその倍以上になっていると言われています。そう考えると、社会=Publicが細分化したのであれば、つながり方=Relationsも細分化されるべきです。

一方、企業のPR施策となると相変わらず企業視点で構築された一方的なものが多い気がします。それを細分化されたコミュニティに対し、全て同じ内容を同じ手法で発信しているように見受けられます。企業と社会、それをつなぐコミュニケーション(つながり方)がマスメディアのみ、というシンプルな構造で成り立っていた数十年前ならまだしも、SNSなどの個人メディア(オウンドメディア含む)が普及した現代において、さまざまな人々の集まりに対するつながり方はひとつではないはずです。

就職活動時、志望動機の自己PR欄に全く同じ文章をカット&ペーストしていた自分を思い出します。書類審査を通過しても、肝心の面接で双方が「あれ?」となるのは当然。それに近いことがコミュニケーション業界全体で起きている気がします。

どう細分化するか?の起点が「情熱」

では、そのつながり方をどう細分化するかがポイントになってくると思いますが、僕が考える着目すべき点は、コミュニティの人数や規模に関係なく、その中で共有されている目的≒情熱=Passionだと思っています。

「豊かな日々を過ごしたい」「アウトドアを楽しみたい」「ダンスが上手くなりたい」「子供のためならなんでもやってあげたい」などなど。自分の伝えたいことと、他者に伝わるであろうこと。もしくは、他者が求めていることと、自分が貢献できること。その最大公約数を取りにいくための起点が「情熱」だと思うんです。

このコラムでは、私が10代の頃の海外生活や学生時代に没頭したこと、そして仕事を通じて、PRやコミュニケーション、関係づくりとその着火点になる「情熱」について考えるきっかけとなった小話を紹介していきます。実体験による独断と偏見、さらに歪んだ自意識をベースに好き勝手書きますので、変わり者の偏った考え方だと思って、流し読み程度でご覧いただければ本望です。

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