Summary
Pomaloでは、デジタルの知見と編集力を活かした価値あるコンテンツ作りやコンサルティングを行ない、再現性を持って技術にすることに取り組んでいますが、その上で必要となるのが「編集力」と「デジタル領域への理解」。今日は、編集力について考えてみます。
唐突ですが、編集ってどんな仕事だと思いますか?
この会社を立ち上げて以来、ずっと「編集ってなんて説明しにくい仕事なんだろう」と考え続けています。
なぜか?
出版社に在籍していたときは、そのまま「●●という雑誌をつくっています」「書籍をつくっています」と答えれば理解してもらえていたので、こんな疑問は微塵も感じなかったのですが、出版社を辞めてから、編集とは果たしてどんな職業か? マスメディアが弱くなってきた今も必要な力だろうか? と。
何も生み出さないのに、なぜ生き残れているのか?
編集という職業は、クリエイティブに近いところにいるのに、フォトグラファーやアーティスト、作家のようにクリエイティブ(作品)を生み出す側ではないし、ましてや製品や空間をプロモーションする立場でもありません。
既存のものに光を当て再定義し価値があるものとして伝えたり(自論)、「伝えたい」を「伝わる」に変換し、適切な文脈を生み出せる人(元Forbesオンライン編集長・林 亜紀さん)であったり、クリエーターをサポートする役割(コルク・佐渡島庸平さん)、「編集とは組み合わせである」(編集家・松永光弘さん)など、編集という職業に携わっている人たちでさえ、さまざまな定義を持っている不思議な存在。
しかし、出版社や新聞社などを退職しても、多くの人がしぶとく(笑)生き残れているのは、なぜか? 今日は、そこを紐解いてみたいと思います。
『日本大百科全書』で調べると、編集とは「企画を立て、素材を収集し、整理し、構成する知的労働の過程」とありますが、まさにここに編集という職業がしぶとく生き残るスキルが凝縮されている気がします。
企画とは、問いを生み出し発想すること
企画を立てるというのは、正解を出すことや最適解を考えるという作業ではなく、むしろその逆。仮説や問いを生み出していく力だったり、解決したい課題があるときに、知識や情報と経験を総動員させて、より良い結果を導くような工夫=何かと組み合わせるアイディアや発想力だったりします。
AIの時代になり、さまざまな職業が脅かされていますが、AIは大量の情報と答えを学習させ、人間の代わりに最適解を導く存在。しかし、そもそも問いを立てたり、問いに対する答えを導くための発想を生み出すのは(今のところ)人間にしかできません。その領域の中に編集という職業も含まれていて、だからマスメディア以外の領域でも問いを立てる力や発想力が重宝されているのです。
情報や素材を収集整理し、構成する力も武器に
編集スキルには、情報や素材をいろいろなところから収集し、大勢の人に「伝わる」ストーリーにして届ける「文脈構成力」もあります。
集めたものを系統立てたり、共感を呼ぶ文脈で企画を構成をしたり、文章を書いたり、つい読んでしまいたくなるタイトルや見出しを考え抜いたり......。
情報や素材の中には、いいクリエーターを発掘することも含まれますし、そのクリエーターを輝かせるための道筋を考えたりもします。
集めまくったものにコンセプトを与え(コンセプトを考えてから集めることも)、ストーリーを組み立て、適切な文脈で届けられる「翻訳者」にも近い存在として能力を発揮する側面もあります。
プレゼン力があれば、どんな企画もお手のもの
プレゼン力なんて一見、編集力には付随しない能力にも思えます。しかし、企画を立てれば、なぜその企画を通したいのかを編集長や上司にプレゼンしたり、その企画に必要なクリエーターや著名人をどうやって引っ張り出し登場してもらうかという説得から、果てはギャランティの交渉(メリットや面白さを伝え、ギャラを抑える)まで、四六時中、説得力のある「プレゼン」が試される職業。
パッションや想いを伝えることが大前提ではあるものの、根拠やロジックがなくては、さまざまな立場の人を口説くことはできません。
ある意味、駆け引きや交渉力まで磨ければ、自分が「やりたい」と思う企画を実現できてしまうのです。
デジタル時代には+αの発信力やチャネル選択も身につけているから強い
さらにデジタルテクノロジーが発達した今、編集という仕事はコンテンツをつくって終わりではありません。つくったコンテンツをどうやって届けるかという「発信力」や、どんなチャネルを使ってどう巻き込むかという「選択眼」さえも必要とされている、複雑極まりない能力。紙媒体、ウェブ、SNS、動画、音声メディア、イベント、店頭......など、多くのチャネルに合わせた発信方法で、コンテンツ体験へと誘導させるテクニックや思考を求められています。
世界観やコミュニティ形成まで考えられれば怖いものなし
編集をするうえで最も大事なのが、世界観。「伝えたい軸」がしっかりと設計されていればいるほど、読者やユーザーの熱狂を生み、ファンが醸成され、コミュニティが形成されていきます。
そのためには、メディアや企業が伝えたい世界観(ターゲットが抱く憧れの世界や、こうありたいと願うライフステージなどをビジュアルやテキストで、どう見せるか、どう伝えるか)が設計されているかどうか、その世界観を通してターゲットにどんな体験価値を提案できるのか、といった上位概念を設計することも編集力です。
「誰の」「どんな気持ち」を「どう変えたいのか」という、ブレないコンセプト設計まで考えられれば、マスメディアからオウンドメディア、SNSまで、自在に操れると言っても過言ではありません。
つまり、「編集」とは、得体の知れないものでありながら、生き残るための幅広い力を持った能力と言えます。
しかも、編集力を身につけてしまえば、コンテンツを生み出すだけでなく、どこでも役立つものです。
Pomaloという会社は、この編集力とデジタルの力を掛け合わせ、多くの企業をコンテンツから支えています。
企業が伝えたいものを紐解き、売上だけではなくユーザーエクスペリエンスによる有効的な企業体験を提案し、ユーザーサクセスという視点で企業の在り方を共に考えます。
もちろん、時には失敗もします。数値だけでは測れない難しさに悩んだりもします。
ですが、「知らないは楽しい」を掲げ、日々挑み続けている会社です。
機会があれば、一度、遊びに来てください。