オウンドメディアにおけるコンテンツが果たす役割とは?

Summary

Pomalo創業から6年ちょっと、ウェブサイトやオウンドメディアを通した戦略、企画、コンテンツ開発を、多くの会社と取り組んできました。

その中で見えてきた企業におけるコンテンツの在り方と役割について考えてみたいと思います。

「送客数」を目的にした場合に陥るコンテンツの落とし穴

KPI達成過程の落とし穴

2016年にこの会社を立ち上げた頃、多くの企業が抱えていたのは、立ち上げたウェブサイトやECサイトに、オウンドメディアをつくり、どう人を集め購買につなげていくか、という課題が大半を占めていました。

そこで、オウンドメディアコンテンツに求められてきたKPIは、売上につながる送客数。

つまり、新規流入を増やし(パイを大きくし)、情報による説得(「お、これいい!」「なるほど」と思ってもらい)を行い、ECサイトへ遷移させてアクションさせる(購入してもらう)という流れです。

長年、ファッション雑誌で編集者として企画力を培い、ターゲットの心をいかに掴んで、ファンになってもらうか、そして掲載商品に関心をもってもらうかを生業の一部にしてきましたので、コンテンツ提案や制作は、ある意味たやすいことでした。

しかし、送客数を中心とした数値結果を元に仮設を立て、新規流入と再訪率に対する改善を軸にしたコンテンツの限界も同時に感じていました。

その理由は、2つ。

ひとつは送客数を目標にしてしまうと、SEOにとらわれてしまう危険性です。

送客を支える新規流入数をアップさせたいと思うと、ウェブページの検索結果の上位に表示させ、流入増を計るのがてっとり早い。そうなると、SEO対策を意識したコンテンツに傾き始めてしまいます。

SEO対策を上手に行えば、長期間読み続けられる良質な資産にもなりますが、短期での流入を増やそうとすると、

  • 恋愛の悩み
  • 体型の悩み
  • 健康の悩み
  • 仕事や人間関係の悩み
  • 占い
  • ゴシップ
  • シーズン性(季節ごとのイベント)に関する内容

などに絡めた検索されやすいコンテンツが量産されかねません。実際、多くのウェブサイトで見られる傾向です。

もうひとつの理由は、

CVを最終目的にした企画やコンテンツは、ときとして面白みに欠けることです。

雑誌と大きく異るのは、ひとつの記事にひとつの情報(答え)という限定的な作り方もあり、取材や編集過程で見つけたちょっとした余談(コラム)もつけにくい。ましてや規定どおりのCMSで記事を作り上げなければならないので、世界観が表現しにくい。

そもそもオウンドメディアが達成したい最終目標は、問い合わせ数や商品購入などにつなげていくことが重要な役割なので、いくら「送客数」がKPIであっても、商品に落とし込んだ視点や文脈を盛り込まなくてはならない。

つまり、「買ってもらうこと」を意識すると、その商品のよさを伝えるコンテンツが自ずと主軸になり、

  • 第三者の口を借りてよさを伝える
  • モノの機能性や上質さなどに特化して伝える
  • そのモノやコトがいかに使えるか、または素敵かをテキストやビジュアルで伝える
  • 悩みや困りごとをいかにカバーしてくれるモノや場かを伝える

など、コンテンツの「型」が出来上がってしまい、予測可能なオチや、既視感のある企画&コンテンツが制作され、エモいコンテンツづくりから遠のいてしまうのです。

想いを共有し、コミュニティを形成するコンテンツづくりを

コミュニティ形成

オウンドメディアづくりの黎明期から成長期に携わってきた私たちが伝えたいのは、コンテンツが担う役割は送客だけじゃない!ということ。

わかりやすい事例として、雑誌を取り上げ説明しようと思います(すみません。なんせ雑誌づくりがDNAにあるもので...)。

Z世代の若者は、2010年代初めくらいまであった雑誌全盛期を知らないため、「???」となる人もいるでしょうが、それはさておき、雑誌は、掲載商品に関心をもたせるだけでなく、独自の世界観やカルチャーを読者と共有し、ターゲット読者の憧れや情熱を刺激し、コミュニティ形成まで行ってきました。

そして、書店でたった一冊の自分たちの雑誌を買ってもらうために、雑誌づくりだけでなく、ウェブメディア、SNS、イベント...など、数多くのタッチポイントを創出してきた存在です。

ここにこそ、今後のコンテンツが担う役割のヒントがあるのです。

Pomaloでは、オウンドメディアのコンテンツが果たす役割を「送客」だけを軸に考えてはならないと思っています。

例えば、ポジティブなコンテンツに接触すると、そのブランドに対していいイメージをもつようになり、似た製品との比較検討の段階にあった場合、選ばれやすい。つまり購買意欲が高まると言われています。

Z世代は、購買の判断基準に「エコ」や友達の商品に対する熱量「友達レビュー」があったり、ふるさと納税の寄付者は肉や魚介類という豪華な返礼品だけが決定基準ではなく、作り手の想いが決め手になっていたりもします。

昨今のクラウドファンディングの盛り上がりを見ても、なぜ作りたいのか、誰のためにやりたいのか、意思がある取り組みに資金が集まるのも周知の事実です。

モノの機能性や悩みに答えてくれるモノやコトに関するコンテンツももちろん必要ですが、

今まで見落とされてきた、企業がどんな想いで、なぜその製品を生み出し、つくり続けているのか、その情熱や想い、価値を共有し、ファンになってくれたユーザーと一緒に楽しむようなカルチャー(文化や場)を創り出し、ユーザーとのタッチポイント(顧客接点)を効果的に設ける企画やコンテンツが、今後の鍵となるはずです。

もしオウンドメディアを運営している企業の方がいたら、自社のオウンドメディアのコンテンツはどんな発信をしているか、ファン形成ができているか、一緒に自社のことを考えてくれるファンと、そのファンを喜ばせる企画内容になっているか、どれくらいのタッチポイントをもっているのか、ぜひ考えてみてください。

 

 

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